株式会社 新閃力 代表取締役 尾崎 えり子 Model10 株式会社 新閃力 代表取締役 尾崎 えり子 Model10

地域コミュニティと協力する事で、
ママたちの選択肢と行動範囲を
広げた経営者。

【プロフィール】尾崎 えり子(おざき えりこ)

1983年香川県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、経営コンサルティング会社に入社。ベンチャー企業経営者への組織人事コンサルティング営業や、大手企業へのIRコンサルティング営業に携わり、在籍4年で2度の優秀社員賞を受賞。2013年、転職。企業内起業という形で子会社の設立に参画。幼児向けのスポーツ通信教材の開発に従事。第1子の育休から復帰後、代表取締役に就任。第2子の育休を経て退職し、14年7月に株式会社新閃力を立ち上げる。地元の千葉県流山市を中心に母親たちのキャリアと子供たちのキャリア教育という二軸で事業を展開。

Q1 起業のきっかけは?

二人目の子供を産んだ時に通勤が大変で、継続を断念して都内の企業を辞めました。その後、仕事を探した時に、ファストフード店もコンビニも「あなたのキャリアではうちの仕事は満足出来ないと思います」と言われて断られてしまったんです。私が必死に築いて来たキャリアが邪魔になっている事に落ち込みました。自分のキャリアを生かして地域で働くには、消去法で「もう起業しか無いかな」という事になったんです。

Q2 起業して一番苦労したことは?

起業した時は新規事業コンサルティングをメインにしていたので、固定費もかからず、あまり苦労は無かったです。その後、自分の会社の新事業としてサテライトオフィスを立ち上げる時が一番苦労しました。お金も無い。人もいない。子育てをしながらなので時間もありません。自分の会社の全財産とクラウドファンディングや商店街の空き店舗補助金を使って初期費用をまかない、多くの地域の方に協力をして頂き、完成させることができました。当時はお酒を飲まないと眠れないようなプレッシャーもありました。

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Q3 経営者と従業員の
違いや魅力は?

自身の強みに特化出来るという点でしょうか。得意分野以外のものはその方面のスペシャリストに全部お願いして、自分が一番力を発揮できる事に時間もエネルギーも割くことができるので、とても楽しいです。

❶❷❸コミュニティと仕事をつなぐ子育て世代の女性が働きたくなる環境づくりとなるサテライトオフィス「Trist」。人と仕事をつなぐ作業効率向上を目的とした教育プログラムや、様々なイベントを実施し、多様な住民がつながる場づくりをしています

Q4 挑戦しつづけられる理由は?

私はとにかく戦い続けたいんです。喧嘩したいわけじゃなく(笑)。まだ誰も手を付けていない荒野に道を作って行くのが楽しくてヒリヒリしてたまらないんです。大学卒業後に入社したコンサルタント会社を選んだのもベンチャーじゃないと面白くないと、まず思ったからです。

Q5 御社の事業の魅力は?

既存の概念にとらわれず、新しいものを作り出していけることでしょうか。新しいものを作るには多様な角度から物事を捉え、掛け算していかなければなりません。単一民族で多様な視点を持ちにくい日本企業がイノベーションを起こすには今までビジネスフィールドにいなかった子供と母親の視点を入れる必要があります。私の仕事は母親たちや子供たちにチャンスを作りたいということではなく、日本にイノベーションを起こすチャンスを作っているという意識でいます。私は普段からビジネスと地域を行ったり来たりしながら、たくさんの視点を持っているので、そこが新規事業を作る際の強みになっていると考えます。

Q6 現在の事業ノウハウの基盤は
どこで培いましたか?

新卒で入った会社では、コンサルタントとしてたくさんの中小企業やベンチャー企業の社長さんと話をさせて頂きました。事業的にどうなっていくのか、そのためにどうやって人を入れていくのか、どのような成長過程を経ていってもらうのか、ということを何百社と話をさせてもらう中で、ビジネスや経営、組織人事について勉強出来た事は、すごく私の土台になっていると思います。

Q7 地域とのつながり、意義は?

例えば、私はサテライトオフィスを作る時に、託児施設を付ける決断をしませんでした。「お母さんたちが働くんだったら託児施設は付けた方が良いだろう」とたくさんの方に言われたのですが、そこは私が得意ではないからやらない。でも、預かってくれるおばあちゃんや地域の民間託児にサポートをお願いすることができたのです。あと、立ち上げ時は女性が多い場所なので、おじいちゃんたちに「散歩のついででも良いから、顔を出して見守りをしてくれないか」というお願いをしてセキュリティ面をフォローして頂きました。こういったコミュニティによって私自身の仕事が成り立っていると考えています。

Q8 千葉県で起業する魅力は?

流山市自体がベンチャー企業の様に今現在伸びている所なので、正直その波に乗れたのが大きかったなと思います。流山が注目されれば、Tristが注目される可能性も高いです。都内にいたら埋もれてしまって、まず仕事が私に来るという事は無かったと思うと、千葉にいた事が非常に大きいなと思います。

Q9 これから起業を考えている方に
メッセージをお願いします。

「まず、やってみれば」っていう感じですね。事業計画などに時間を割いて、机上で諦めるのはもったいない。まずやってみて、いっぱい壁にぶつかる経験を重ねた方が良いんじゃないかなと思います。私はまず企業と対等な器を持つために、どんな事業をするか決めていない段階で法人化しました。新事業を立ち上げる時も「うまく行くか行かないか」ではなく「自分がワクワクするかどうか」で決めました。色々なパターンがあると思いますが、私は「とりあえずやってみる」ことで前に進んできました。

好きな漢字は?

「 透 」
透明であるということは、「何色にも染まる」ということ。様々な組合せで新しいものを作るには、透明であることが大切という意味でこの漢字を選びました。

影響を受けた本、おすすめの本は?

「ライフ・シフト」
「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」

どういう過程を経ていけば創業者たちが増えていくのかという事を実践的にしかもおもしろく書かれている本です。私も流山の創業スクールや子供たちに対しても取り入れており参考にしています。

オンとオフの切り分け方は?

仕事も子育ても地域活動も全てリンクさせて新しいアイディアを生み出しているので、あまり切り替えを必要としていません。

千葉で注目している起業家、経営者は?

子育てがあり集まりなどに参加できないので、お恥ずかしながらあまり経営者の人脈がありません。千葉に拘らなければ、スティーブ・ジョブス氏です。ガレージから始めたストーリーも“Stay hungry, stayfoolish.”というスタンスもしびれます。