事業拡大の鍵は“地元愛”にあり。
脚下照顧の精神で「成田にあって良かった」と
言われる盤石な企業基盤を確立させた経営者。

【プロフィール】平山 秀樹(ひらやま ひでき)

創業明治34年(1901年)、平山商店として木材の営業からスタートし建築請負業へと業務を拡大。1962年に平山建設株式会社が設立され、建設業へ本格参入。都内などの大都市圏ではなく、所在地である成田市にビジネスの軸足を集中させる事により、一時低迷していた企業規模を大幅に回復、官民連携による京成成田駅前の開発など業務拡大を続けている。

Q1 起業のきっかけは?

実は、私は自衛官か大学の研究者になろうと思っていて、跡を継ぐつもりは全くありませんでした。大学に入り、研究室に入って卒論を書いていく過程の中で、研究するのにかかるお金は全くの人任せだと気が付きました。その時、自分の意思で進められる仕事をしたいと強く想ったんです。そして平成元年、バブルの絶好調の時期に大手不動産開発会社に入社。若いうちから大きな仕事を任せてくれる、やり甲斐のある素晴らしい会社でした。しかし同時に、自分の能力に限界も感じていました。その後、米国に2年間留学しMBAを取得、父から会社に戻るよう言われ入社する事になった訳です。

Q2 起業して一番苦労したことは?

平成7年に入社した当時、地方の中小建設会社の仕事など朝飯前だと高を括っていました。しかし、前の会社では数十億規模の仕事が当たり前だったにも関わらず、半年努力した結果が200万円あまりの受注。これがきっかけで奮起し、トライアル・アンド・エラーを繰り返しました。そんな中、坐禅の師匠に、「脚下照顧、もっと地元を大切にしなさい」と教えてもらいました。その後、千葉市出身の社員が成田の街中のお祭りの役員になり、街に入り込んで行く様子を見ていました。その中で成田を軸足に仕事をしていく事の大切さを自覚し、自分自身も祭の役員になって活動していく中で、沢山のご縁や機会を頂く事に繋がりました。

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Q3 経営者と従業員の
違いや魅力は?

基本的には経営者も社員も「使命は社員の物心両面の幸福実現」であるという事に違いはないと私は思っています。経営者でなくとも、社員が会社の中で自分のやり甲斐を持ち、企画を生かしていける環境は十分にあるはずです。大概の場合、宝物が埋まった土地の上に暮らしているのに、その宝物に気付かないというのが会社生活における不満の大半ではないでしょうか? 起業家のやり甲斐は、自分の信じた道、信じた宝物の発掘に自分の信念を注いで仕事を進められる事でしょう。その想いを社員と共有して初めて本当の経営者になれるのではないでしょうか。

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Q4 挑戦しつづけられる理由は?

「ふるさとづくり、街づくり、建物づくり」という自分の使命は果たしたいとは強く想っていて、この使命を達成するためには、社員を愛し、お客様を大好きになり、街の発展にときめきを覚え続けていく事が必須です。強いて言うなら、この「大好き」「ときめいちゃう」みたいな感じが自分の情熱や挑戦する力の源泉でしょうか。

Q5 御社の事業の魅力は?

私は、事業は行政とは独立して行うべきだと信じていて、早くから脱・官庁工事の方針を打ち出し実行してきました。大手ゼネコンよりも先に、脱・談合宣言もしました。しかし、街づくりの仕事をしていると、行政との連携が欠かせない事がよく分かってきたんです。弊社が長年取り組んできた成田の表参道セットバック事業も行政・商店主さん方・弊社が協力して推進し、「できる訳がない」という世論を覆して実現したのです。起業家として、経営者として、街の為になる事業に携われた事は心からの喜びです。

Q6 現在の事業ノウハウの基盤は
どこで培いましたか?

以前勤めていた不動産開発会社での体験は絶大です。そして、その不動産会社を辞める時に、中小建設会社の経営状況に詳しい上司から「お前の考えは甘い。建設会社の経営なんて、お前の考えている10倍はキツい」と言われ引き留められたのを思い出します。実際は40倍くらいキツかったんですけどね(笑)。そのキツかった経験から一念発起して経営に取り組んだ時間も、非常に有意義な物だったと思います。

Q7 地域とのつながり、意義は?

これは今まで述べた通りで、土から離れては人は生きられませんから、土に根をおろし、風と共に生きる事で弊社は伸びてきました。近年では、京成成田駅東口地区について、街づくり協議会と弊社が市役所にお願いし、開発が伸び悩んでいた地域に住宅建設が可能となるよう地区計画の変更を進めて頂きました。結果として、弊社の本社並びに246世帯の賃貸マンションを有する18階建て免震ビル「センターゲートビル」の建設など、一気に開発が進んでいます。こうした建物は空港で働く方の住まい、成田に初めて住まう方の「センターゲート」となっていると考えています。

Q8 千葉県で起業する魅力は?

千葉はもっとブランド化できる材料が沢山あります。センターホテル成田2 R51でレストランを運営して下さっているYASAI STYLEさんの野菜はすべて近隣で採れた物ばかりで、ランチタイムには、ホテルの社長である私でも予約できないほどの賑わいです。千葉は江戸時代から首都の衛星経済として栄えてきました。放牧であったり、水運であったり、現在では近郊農業やお手軽リゾートなどに形を変えて地理的条件を活かしてきました。問題は、恵まれ過ぎていて千葉の方々がのんびりしている事くらいではないでしょうか? 宝はやはり足元に埋まっているのだと思います。

Q9 これから起業を考えている方に
メッセージをお願いします。

今回のインタビュー全体を通してお伝えしたかった事なのですが、やはり、日常的に出てくる不満という物はすべて、足元にある宝物に気が付けないまま生活しているからなのです。私達が成田に完全に軸足を移して色々な実績を頂いたように、「あれがない、これがない」ではなく、「あれもある、これもある」という精神で、足元に埋まっている未知なる宝物を大切に、事業に取り組んでいって頂きたいと思います。

好きな漢字は?

「 禮 」
父の好きな文字でした。示偏に豊の旧字体の「禮」。示偏は「心」、禮とは心の豊かさが外に現れた行動です。あまりにも好きなので、昨年社員と成田山の「講」を造り、「金禮功徳講」と名付けました。

影響を受けた本、おすすめの本は?

「生き方」/稲盛 和夫 著
「経営者になるためのノート」/柳井 正 著
「小倉昌男 経営学」/小倉 昌男 著

オンとオフの切り分け方は?

座禅、ゴルフ、料理
私は仕事しかない人間なので、あまり切り分けは上手ではありません。時々、坐禅しています。あと最近はゴルフにはまっています。老後に備えて、最近クックパッドを見ながら料理を作り始めました。

千葉で注目している起業家、経営者は?

小湊鐵道 株式会社
代表取締役社長 石川 晋平さん
大髙醤油 株式会社
代表取締役社長 大髙 衛さん