未来(さき)を読み、時代に合わせて事業を変容。事業本質に「心」を持ち発展し続ける熱き経営者。
ヤマモトホールディングス株式会社 代表取締役 山本 英明(やまもと ひであき)
1998年、山本塗装として千葉県松戸市で個人経営をスタート。塗装工事業を中心に建築分野で事業展開。2010年、ヤマモトホールディングス株式会社に社名変更。原点である建築・塗装工事業を軸に、ガラスコーティング剤の製造、研究開発及び販売、太陽光発電設備計一式、リフォーム事業等、多角的に発展し続ける。千葉のちから【中小企業表彰】(2012年)、第18回千葉県ベンチャー企業経営者表彰『優秀社長賞』(2014年)等、数々の受賞歴を持つ。Q1 起業のきっかけは?
我が家の家訓に『学歴よりも学習歴』という言葉があります。教師の父が、「大学に行くのではなく、すぐに経営をしなさい」と。この教え通り、高校卒業後はすぐに社会に出ました。アルバイトをしながら、自分はどんな事業を始めようか考えていましたね。その中でたどり着いたのが免許や資格、初期投資がなくても始められる建築関係でした。では、建築の中でもどんな事業を始めるか。ちょうど電車に乗っていた時、街並みに一軒家の外壁や屋根がたくさん見えて、これだと思って始めたのが塗装事業です。Q2 一番苦労したことは?
お客様の獲得、その一言に尽きます。当時はワープロでチラシを作って、一軒一軒ポスティングし、さらに直接お声掛けをしていきました。すると私の熱心さに「そんなにあなたが言うならお願いするわ」と言ってくれる方がいたのです。それが初めてのお客様でした。家周りの掃除、出かける時には出やすいように自転車を移動させる等、とにかく地道な営業努力と心を尽くした気遣い、作業を心がけましたね。その仕事ぶりが評価され、大手建築会社から大きな住宅街の受注をいただき、ようやく軌道に乗り始めました。Q3起業家・経営者と雇用される生き方の違いや魅力は何ですか?
世の中のできごとはすべて選択の連続です。経営者は、その選択をどう選び取り、会社や従業員に気付きを与えるか。そして従業員は、与えられた権利に対して義務を果たしていく。これは信頼関係がないとできません。従業員には、説得ではなく、納得して理解してもらうことを大切にしています。また、チームが一丸となって同じ方向を向いた時には、経営者としてやってきて本当に良かったと感じています。【事業内容1】
ヤマモトホールディングスグループである株式会社ハドラスの東京研究所。塗装会社をやっていく中で塗料の研究から、コーティング剤の研究開発へと本腰を入れ、社名ともなっている「ハドラス」コーティング剤の研究開発の拠点となっている
【事業内容2】
「ハドラス」コーティング剤の製造工場を千葉県松戸市松飛台に設立。コロナ下において、抗ウイルス・抗菌機能を持つ「Dr.ハドラス」を開発したことで注目を浴び、大量生産体制を整えるべく2020年、製造工場をオープンした
「何が何でも成功するぞ」5分に1回くらい思いながら日々を過ごしていました。
Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?
成長していきたいからです。挑戦しなければ成長はありません。もちろん成長過程にはつらいこともあります。事業が拡大し、体制が変化していく中では、会社から離れていく人も多々いました。ですが、会社が成長し、企業基盤が強固になればなるほど従業員は離れていきませんし、強い人材も入ってきます。歩みを止めず、成長し続ける。これこそ会社経営だと思っています。Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?
一般ユーザーに親切なビジネスモデルです。20年程前の塗装業界は、価格も不明瞭で、説明をしてくれる専門業者も少なかったのですが、当社は塗装業としては珍しく事務所を構えていましたので、そこで一般のお客様にも一目でわかる価格提示や塗料の説明をし、ご納得いただいた上で交渉が成立していました。業界の常識に捉われないビジネスモデルによって、フランチャイズ化が進みました。お客様へ親切なビジネスを意識することが事業拡大の原点です。「人」や「社会」のためであることが当社の魅力ですね。Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?
学習・情報・経験です。自ら現場に出て体験をして、そこで苦労や学びがあり、知識がついてくる。そして、その経験を生かして次のステップに進む。この繰り返しなのです。また国の方向性を捉えることもポイントのひとつです。当社は、建築塗料を軸に国のニーズに沿った事業を展開しています。これまでも、太陽光発電の普及政策を進めるのであれば太陽光発電に付随した事業展開を、特殊塗料に求めるのであれば特殊なガラスコーティング剤の開発をという風に国の物差しを見て事業を動かしてきました。Q7 地域とのつながりはありますか?その意義は何ですか?
私自身、サッカーのコーチをしていましたが、現在は地域の少年サッカークラブのスポンサーをしています。商品提供や優勝カップ贈呈等些細なことですが、地域とのつながりは大切にしています。また、県内の助成金を活用している研究も多く、行政や金融機関のご紹介で、千葉県内の大学等と産学研究に取り組んでいます。どんな形であれ地域貢献は絶対した方がいい。「今だけ、金だけ、自分だけ」は、一時的な成功はあっても続きません。最終的には人の望みを叶えている人が成功すると考えています。Q8 ちば起業の魅力は何ですか?
魅力は大いにあります。当社は松戸市に本社を置く以外に、東京にも拠点があります。事業規模が大きくなると千葉県内での知名度は上がり、商工会をはじめたくさんの方に知っていただけますが、東京ではその他大勢になってしまいます。だからこそ、千葉では会社の成長をしっかり感じ取ることができます。また、千葉県は中小企業の助成金も充実しています。今回の新型コロナに関する助成金のスタートも早かったです。当社が苦しい時、千葉県や県内金融機関に助けていただいたからこそ本社は移さないと決めています。Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。
挑戦してください。そして起業して成功するうえで一番大切なことは、「求める心」です。どうなりたいか、どうしたいか。「燃えるような願望」を持ち続けることが起業を成功に導きます。私自身、創業当初は毎日、「何が何でも成功するぞ」と5分に1回くらい思いながら日々を過ごしていました。事業内容やビジネスプランといった戦略戦術も大切ですが、それ以上に燃えるような熱い思いを持って頑張ってほしいなと思います。好きな漢字は?
「変」 変化していかなければいけないし、個性が強くないと経営者は務まらない。変な奴じゃないと(笑)。影響を受けた本は?
No.1理論/西田文郎 著一生折れない自信のつくり方/青木仁志 著
オンとオフの切り替え方は?
オフはないですね。仕事が大好きなので、いつでも仕事関連の方とお会いしています。千葉で注目している起業家、経営者は?
マブチモーター株式会社/創業者の馬渕健一 氏中華蕎麦とみ田/富田治 氏
松戸市出身の宇宙飛行士/山崎直子 氏