株式会社 エムズファクトリー 代表取締役 松田 裕美 Model07 株式会社 エムズファクトリー 代表取締役 松田 裕美 Model07

「クラフトバンドが欲しい」、その類い稀なる行動力で
ビジネスを拡大させたパワフル経営者。

【プロフィール】松田 裕美(まつだ ひろみ)

2003年、日本でも数少ないクラフトバンドを取り扱うネットショップをオープン。現在では200色以上の品揃え、100種類以上のオリジナルクラフトバンドの販売で国内最大級のネットショップへと成長させる。クラフトバンドの普及、講師の育成を目的とした一般社団法人クラフトバンドエコロジー協会の代表理事も務める。クラフトバンドにまつわる著書も多数出版。

Q1 起業のきっかけは?

子供の学校の保護者会で手芸教室があり、その時に生まれて初めてクラフトバンドでバッグを作ったのがきっかけです。「紙なのにこんなに丈夫で、簡単で、500円くらいで出来るんだ」と感動しました。そして、一 宮町に引っ越したときは、全く素材が手に入らないのでバッグを編むことをやめていたのですが、ママ友に「私も編んでみたい」と言われ、素材探しをしたことがはじまりでした。製紙会社と名のつくところに何百件も電話をしてやっとのことで3、4社見つかり、なけなしの数万円を渡して、「これで紙の紐を売ってください」と依頼しました。それから、どんどんとお仕事を頂くようになったある時、その事を面白くないと思う人たちの声が耳に入って…、すごく辛くなってしまったんです。それがきっかけで「会社を作ろう!」と思い立ち、個人事業を開業、事業が拡大し2006年に株式会社を設立して、現在に至ります。

Q2 起業して一番苦労したことは?

起業時に苦労した事は無いですね。強いて言えば、子育てと仕事の両立でしょうか?でもそれってよくあることで、仕事と家事、育児を両立しているお母さんはたくさんいます。専業主婦だったので、知らない事ばかりでした。ですが、無知だからこそ色々と考える事や心配する事もなく、今思えば怖いもの知らずだったと思います。

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Q3 経営者と従業員の
違いや魅力は?

3人の子育てをしながらの起業でしたが、経営者なので時間の自由が利き、ビジネスをしている感覚ではなくて、一番好きな事をやり続けているので、ずっと楽しいです。ただ、「違い」と言われると、社員はお客様に対する責任がありますが、経営者は、社会に対する責任を負いますので、その重みは社員では理解できないだろうと思います。

❶ラメ入りやツヤ加工等オリジナルカラーやデザインが豊富なのも魅力❷「今日がときめくかご&バッグ」は松田社長の2017年08月の新刊著書❸教室や講座は全国各地で開催。入会者は2500名を超える

Q4 挑戦しつづけられる理由は?

生徒さんの「できた!」「可愛い」というお声や、「次は先生いつ来るの?」「もっと早くあなたに出会いたかった」「こんなに楽しい手芸があったのね」などたくさんの声に「私がこの世に生まれてきた意味がここにある」と毎回思います。人は誰かに必要とされる事で、何倍も頑張れるものなんですよね。

Q5 御社の事業の魅力は?

会社って、社会貢献型でなければいけないと思っています。弊社は、ただの紙の紐を仕入れて売るだけの会社ではなく、その紙の紐の魅力と、編み方を協会を通じて全国に配信しています。近所のコミュニティをはじめ、高齢者施設や学校などでも近年大変需要が上がって来ていますので、メディアに取り上げられることも大変多くなりました。今までありそうでなかった新しい分野の手芸です。ネットショップには「安い・早い・日本一の品揃え」、協会には「簡単・可愛い・誰でもできる」といった魅力があると思います。

Q6 現在の事業ノウハウの基盤は
どこで培いましたか?

もともとあるビジネスモデルを参考にして学んだというわけではなくて、自分で色々試行錯誤というか、思い立ったら即行動、いつも動きながら考えています。工場に行った時にも、別に私の会社と取引をお願いをしに行ったというより、焼き芋を買いに行くようなレベルで事業が始まってしまったので。経営者の会などに数年通い、たくさんの社長さんの会社や事業形態を見聞きし、私の会社に取り入れられそうな所はどんどん取り入れていきました。

Q7 地域とのつながり、意義は?

クラフトバンドを一宮町で教え始めて気付いたんです。「こんなに田舎なのに、こんなにクラフトバンドがブレイクする」っていうことは、日本は大都会と言われるところ以外は「みんな一宮町」なんじゃないかって。この町で流行るんだから、日本中にこの紙の紐を欲しがっている人がいるに違いないと思ったんです。地域とのつながりがあったからこそ、今のビジネスがあると思っています。今は茂原市に移転しましたが、変わらず地域に貢献していきたいと思います。

Q8 千葉県で起業する魅力は?

5〜6年前に自社ビルを買って、他に一昨年に買った倉庫も卸団地にあるんですが、とにかく物件、土地が安い。ネットショップって、店舗にも倉庫にも大した経費がかからないから安く売れるのですが、それを東京でやろうと思ったら、倉庫にコストがかかります。そして、千葉県は東京に近い。週の半分は東京に通っていますが、圏央道から海ほたる経由で行くと意外と近い。1時間くらいで品川まで行けるのがすごく助かっています。また東京の情報が入って来るのが早いのも、千葉だからこそですよね。

Q9 これから起業を考えている方に
メッセージをお願いします。

どれだけ腹をくくれるか。私は、クラフトバンドという、世の中にはもともとあったけれど、あまり流通していなかったものを流通させる、ということをやりました。そして、弊社の商品は半分以上がここでしか買えないオンリーワンのもの。数社の同業者を徹底的に調べ、良い所は取り入れ、更に顧客満足度を上げるためにはどうしたら良いか、脳みそがちぎれるほど考えてきました。その結果、存在しているのが全国に2500名在籍する講師達です。この講師達が全国で開講していくので、商品が流通して行くという仕組みをつくりました。自分が動けなくなっても収入が確保されるビジネスにして、責任をとれる会社にして、社会に対する責任を負っているという事を肝に銘じて起業して欲しいと思います。

好きな漢字は?

「 結 」
紐屋なので「結」ですね。「紐を結ぶ」と「お客様との御縁を結ぶ」という意味を込めています。

影響を受けた本、おすすめの本は?

特定の本ではないのですが、海外の写真集や作品集、ファッション誌は会社を起業した時に買いあさっていました。籠を編むときの参考に「今の時代のもの」を見るようにして感性を磨いています。

オンとオフの切り分け方は?

家で仕事をするのが普通なんです。犬が好きなので犬を連れて出勤していて。犬を連れてくると社員が和むんですよ。社内に犬が1匹いると笑顔が増えるなと思っています。

千葉で注目している起業家、経営者は?

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの社長、前澤さんは若いのにすごいなと思います。お会いした事はないのですがインタビューなどよく拝見していて、一度お会いしてみたいですね。娘がよく利用していて、20歳ぐらいの子がこんなに買いたくなるのはすごいと思います。