伝統を堅実に継承しつつ
時代の変化に対応し業態を適正化していく
社会派経営者。
【プロフィール】株式会社日本一 代表取締役会長 染谷 幸雄(そめや ゆきお)
千葉県野田市で嘉永元年(1848年)に創業された川魚卸売業を営む家系に生まれ、18歳の時に家業を継承。その後、1981年に株式会社日本一を設立、同社代表取締役に就任。1985年にはうなぎ蒲焼のテイクアウトの専門店を東武百貨店船橋店に出店、その後、日本各地に総菜店を多数出店。
Q1 起業のきっかけは?
私の生家はもともと、千葉県野田市で川魚を漁師から買い受け、築地などの市場や近隣の鮮魚店などに卸し売りをしたり料理屋などに納品していました。高校を卒業した18歳の年に父親が他界し、私が家業を継ぐことになりました。その当時は、川魚卸売業として継ぐ形でしたが、現在のような事業に転換したきっかけは、魚が取れなくなるなどして、川魚が確保できなくなる時がくるのではないかという漠然とした危機感からのことでした。
Q2 引き継ぎ時に一番苦労したことは?
あまり思い当たらないのですが、先述のような理由から今の業態を早く何とかしなければと思い、叔母が持っていた8坪の倉庫のようなところを借りて、小さなうなぎ料理屋を流山で始めました。初年度から多くの方の支持を受け、考えていた以上に、ものすごく儲かったんです(笑)。当時は若かったので、うなぎ料理屋を他人に任せて新事業に手を出したのですが、そうなったらボロボロになって、結局辞めることになりました。
Q3 起業家・経営者と雇用される生き方の
違いや魅力は何ですか?
私どもは商業界の教えである「店は客のためにある」をモットーに店舗を展開しています。お客様から「いいね」や「いつも食べているよ」などのメッセージをダイレクトにいただく度に「やっていてよかった」「もっと頑張ろう」と心から感じます。「私たちの街に日本一はないの?」と言われることもあり、その言葉は私共「日本一」が前へ進む原動力になっています。
❶こだわりのネギを使用 ❷焼鳥串は手打ちにこだわっている
Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?
経営者をしていて、資金面で苦しかったということも経験しています。でも今まで続けられたことは、お客様のおかげです。前の質問(Q3)でもお答えしたように、お客様からかけられたお言葉や、多くの方が来店くださることがモチベーションにつながっていると考えています。これからも会社のキャッチフレーズである「あったか家族のお手伝い」という使命を粛々と続けていきたいと思っています。
Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?
少しでも良いものを作り、リーズナブルな価格で提供していくことでお客様に喜んでいただくというのが魅力ですね。そのために現在、千葉県内の畑で関連会社にて「ねぎ」の栽培をしています。より鮮度が高く、さらにリーズナブルにご提供できる機会を育てています。
Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?
うなぎ料理屋を辞めてから数年後、船橋の東武百貨店にうなぎの物販店を出店しました。それは餃子屋さんなど、様々な商売を間近で見る機会となり、大きな学びになりました。その後、地元である千葉県野田市に大型ショッピングセンターの設立話があり、先輩から紹介を受け、ショッピングセンター事業協同組合設立時に理事に就任することになりました。それからは設立に向けて様々な勉強会へ参加したり、全国を廻るなどをして野田のショッピングセンターが無事完成を迎えました。私共も出店することができ、それが今日のビジネスの基盤となっています。
Q7 地域とのつながりはありますか? その意義は何ですか?
うなぎは千葉県から東京エリアの東京湾で取れたものが一番の上物と言われています。県内の特に利根川は、うなぎの稚魚の最大産地です。うなぎを生業の主としていた当時、利根川河口に親潮に乗ってきた稚魚が遡上すると、それを獲って養殖場に送っていたりしました。ですから、実は千葉県で取れた稚魚が大元だったりしましたね。
Q8 ちば起業の魅力は何ですか?
私は千葉県野田市の出身ですが、日本地図を見て野田を起点に円を描くと関東一円がカバーできるのです。国道16号、常磐道、外環道に圏央道、これを見ると、野田市は物流の拠点として適した地域と言えますね。関東圏であれば、どこへ行くにも野田から行くと近い! それが魅力だと感じています。
Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。
何でもできると思うこと。そしてやってみることかな、と思います。そしてやり続けていくこと。やりたいことをしっかりとイメージしていくこと。それが若い人は活力になっていくと思います。
会社名 |
株式会社日本一 |
電話番号 |
04-7124-2616 |
現在の年商 |
約200億円 |
従業員数 |
約2,900名(パート含む) |
業 種 |
小売・外食 |
事業概要 |
全国に約300店舗の焼鳥・惣菜・うなぎの小売店を展開。また、岩手県・秋田県・北海道にグループ会社の焼鳥刺し工場を構えるとともに、千葉県野田市の本社近くにて自社ロジスティクスセンターを運営することで、製造・物流・販売まで一貫した高い品質管理と管理体制を実現。 |
所在地 |
千葉県野田市目吹1965 |
H P |
https://www.nihonichi.jp/ |
好きな漢字は?
「 縁 」
私が生かされてきた中でお客様や先輩方にご縁をたくさんいただいたので、この言葉が好きです。
影響を受けた本は?
「坂の上の雲」/司馬遼太郎 著
オンとオフの切り替え方は?
あまりありません。休みにはゴルフをしたり、交流会を行ったりしています。
千葉で注目している起業家、経営者は?
イオングループ 名誉会長 / 岡田卓也さん