発展の鍵は「人が集まる会社づくり」にあり。社員一人ひとりの働き方にフォーカスし、利益を活かす多角経営でさらなる高みを目指す経営者。
株式会社BRAST 代表取締役 柏原 英輝(かしわばら ひでき)
大手建設機器レンタル会社に勤務していたが、リーマン・ショックの影響により業績悪化。それに伴う所属部門の売却を機に独立を決意し、平成22年に足場・土木工事事業を軸とした株式会社BRASTを設立。建設業界が抱える高い離職率問題を解消するため、社員の働き方改革に注目、強みに合わせてドローンスクール運営・ダイビング事業等、多事業展開を図り成果を上げている。令和元年にはサッカースクール「ACミランアカデミー千葉」の運営に乗り出し、さらなる事業展開を進めている。Q1 起業のきっかけは?
元々、大手建設機器レンタル会社の足場事業部に勤めていたのですが、リーマン・ショックで会社の業績が悪化し、私が在籍していた事業部ごと売却することになりました。当時、私がその事業部を動かしていたので、「事業部を買い取らないか?」と上司に勧められましたが、サラリーマンの私にはそんな資金も無く、売却先に行く気にもなれずに、そのまま一念発起、部下を連れて起業することにしました。Q2 一番苦労したことは?
起業して1年間、資金繰りに苦労しました。仕事自体は、前職のお客様をそのまま引き継いだため、順調なスタートを切ることができたのですが、とにかく資金がありませんでした。従業員の給料日にお客様からの入金が間に合わず、親にお金を借りたこともあります。すぐに返済しましたが、悔しかったですね。あとは人手不足の問題です。設立当初から、従業員の離職については悩みの種でした。若い従業員たちにとって働きやすい環境とは何か。重要な課題として取り組む必要に迫られていました。Q3 起業家・経営者と雇用される生き方の違いや魅力は何ですか?
経営者は従業員に対して会社の方向性を示していかなければなりません。経営者である私が現場に出てしまうと、それは“職人としての対価”を生むことしかできないですよね。ですが、私が会社の未来や展望を示すことで、従業員は働く意義を認識することができる。今後の事業展開を明確にビジョン化することで会社の未来が変わるんです。その導きがすごく大切だと思っていて、それは経営者にしかできないことだと思っています。【事業内容1】
千葉県内マンション大型改修工事
【事業内容2】
県内で唯一のアンプティサッカーチーム「AC Milan BBee Chiba」
仕事のやりがいばかり説明してきましたが、響かない。なので、会社の方から歩み寄るスタンスへと変容させていきました。
Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?
ずばり、「儲けるため」です。儲けるって「信じる者」と書きますよね。当社のサービスや商品がお客様の信頼を得ているから利益に繋がる。その利益を新しい事業展開や設備に投資することによって会社が成長し、会社の価値が向上していく。結果として、従業員の利益となり、巡り巡って地域の人のためになっていく。全部、繋がっているんです。だから「儲ける」ということを誤魔化しちゃ駄目なんです。それが私のモチベーションにもなっています。Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?
当社の主な事業は、建設現場における仮設の作業床や通路等の設置を請け負う、いわゆる足場工事です。特に大型施設や高層ビルを手掛けることが多いです。“足場”といっても組み上がった姿は壮観ですよ。建物が完成したら崩してしまうのが寂しいところなんですけどね(笑)。地図に残るのは建物だけ。でも私たちが作る足場がないとビルは建たないし、現場に入る作業員の命を守ることができない。職人としての誇りをもって業務にあたっています。Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?
様々な事業を展開していますが、本旨は「大元の建設事業をどう助けるか」ということにあります。先述の通り、人手不足・離職問題は建設業にとって大きな課題です。解決のため、ダイビングが好きな従業員には沖縄でダイビング事業を、コンビニ弁当を毎日食べている場面を見付ければ、社員食堂を。昨年からは、地元のサッカークラブ「ACミランアカデミー千葉」の運営も始めました。多事業展開していることを会社の魅力のひとつにして、人を集めるためのツールにしようということです。これまでは従業員に仕事のやりがいばかり説明してきました。でも、響かない。なので、会社の方から歩み寄るスタンスへと変容させていきました。Q7 地域とのつながりはありますか?その意義は何ですか?
サッカークラブを始めてからですね。地域から必要とされるクラブをつくろうと考えたとき、「障がい者サッカー」に出会いました。まず、能力の高さに脱帽しました。彼らはビジネスにおいて強みになります。障がい者サッカーは珍しいので注目されやすい。そこにビジネスチャンスが生まれました。彼らには誇りをもってその武器を活かして欲しいと思っています。今や、第一線で活躍するクラブの顔になっています。今後はグラウンド整備や体験会を計画しています。彼らの居場所を作り、この街に必要な存在にしていきたいですね。障がい者も健常者も関係なく活躍できる環境、それが共生社会だと思うので。Q8 ちば起業の魅力は何ですか?
ひとつは、他県と比較すると地代が安いという点。建設業では資材や機器を置いておく広い敷地が必要です。さらに成田空港に近いことも魅力ですね。これからは世界がもっと近くなります。日本は少子高齢化で人手不足は社会問題になっている。外国人実習生の受け入れもますます増えてくるでしょう。海外との取引だって当たり前になっている。佐倉は成田空港が目と鼻の先、という立地ですので、目覚めた3時間後には海外に行けるんですよ(笑)。「地の利はすごい武器だよ」と言った人がいましたが、まさにその通りです。Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。
まずは挑戦してください。考えるよりもまずはチャレンジしたほうがいい。大事なことはその一歩を踏み出せるかどうか。決意したらすぐ行動に移すことが大切です。よく「資金を準備してから…」と言う人がいますよね。お金は無いうちに始めた方がいい。貯金がたまる頃には違うことに使っちゃうでしょ(笑)?起業を考えるなら、最初の一歩を踏みだすことを前提に行動する。決意をしたらとにかく一歩を。踏み出したその瞬間から、行動が変わってくると思います。好きな漢字は?
「輝」 障がい者も健常者も、日本人も外国人も、一人ひとりが輝ける場所づくりを目指して。影響を受けた本は?
多動力/堀江貴文 著オンとオフの切り替え方は?
オンとオフはないですね。常にオンです。365日、毎日会社のことを考えています。千葉で注目している起業家、経営者は?
有限会社マリブエンタープロジェクト/代表取締役 山村潤一 氏ネクストゲートインターナショナルホールディングス
(NGIホールディングス株式会社)/代表取締役 椎名佑介 氏