多彩なアイデアでイメージを具現化。食と空間をプロデュース
株式会社パシフィックプロジェクト 代表取締役社長 CEO 萩原 勇作
ラスベガスで見たビュッフェ形式のレストランに衝撃を受け、大学院2年生の時に起業。地元茨城県つくば市に1号店をオープンし、3店舗目を佐倉市ユーカリが丘に出店して以降は、千葉県内に多数出店。現在は、オリジナルブランドの店舗にこだわり、2社11店舗を展開。飲食店経営だけでなく、イベント企画や店舗プロデュースを手掛けている。令和元年にローマ教皇が来日された際に提供したティラミスが話題になるなど、その時の昼食会の料理提供・総合プロデュースを担当。Q1 起業のきっかけは?
起業したのは、米国流通経済を研究していた大学院2年生の時です。ある時ラスベガスで見た、ライブキッチンがあるビュッフェ形式のレストランがすごくかっこよく、これが日本の路面店で展開できたら面白いんじゃないかと思ったのと、当時、親が経営していたスーパーマーケットの流通や人脈を活かせるのではないか、というのが大きなきっかけでした。更に、大学院の講師が、上場企業の実務的な経営者の方だったこともあり「この人達に教えてもらいながらスタートアップしたら無料コンサルだな」(笑)と、起業に踏み切りました。Q2 一番苦労したことは?
最初はシェフやスタッフたちとの温度差が非常にありましたね。私は料理人ではないオーナーなので、お店の完成形のイメージはあっても、職人気質のシェフにしてみれば、素人のオーナーが出した意見を、受け入れたくない気持ちもあったのでしょう。ですが、お客様に満足して頂きたいという想いは皆同じ。私がお客様代表になった形で、ゴールだけを語り続け、シェフやスタッフが一つ一つ形にし実現していくことで、完成形に近づいていきました。スタッフからすると「社長を満足させるぞ」という反骨精神もあったかもしれません。Q3 起業家・経営者と雇用される生き方の違いや魅力は何ですか?
雇用されている方との違いとして、起業家・経営者の「ご縁」の広がりは魅力です。ご縁を最大限に生かして、今までにないものを作ることは当社の強みでもありますし、そこが経営者の魅力ではないでしょうか。よく皆さんから「どうして面白い方と繋がってるの?」と聞かれます。それは飲みニケーションが大きいですね(笑)。地元から離れ、一人大阪の大学に進学したことをきっかけに、積極的にコミュニケーションを取るようにした経験が今でもご縁の広がりに繋がっていると感じます。Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?
やりたがりなところです(笑)。苦戦しているお店を見れば「どうやったら流行るか」、他の業界が苦戦していると知れば「どうやったらよくなるだろうか」等、何でもやりたがってしまうところがありますね。自分のイメージを具現化して実践してきた経験から、そういった欲求があると思います。ただ最近は一人で考えるよりも、周りの魅力ある方と何か新しいことを生み出すことにギアチェンジしています。【事業内容1】
2019年11月、38年ぶりに来日したローマ教皇の公式昼食会を総合プロデュース。県内の規格外野菜などを使ってコースを考案し、国内の飲食店として唯一ローマ教皇に料理を提供した。
【事業内容2】
2020年5月よりEC事業スタート。富裕層向けのクレジットカードなどの他業種と多数コラボをし、メディアでも注目を集める 。
これからは周りの魅力ある方と新しいことを生み出していきたいです。
Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?
当社の事業は基本的に全てオリジナルブランドです。チームのシェフたちとどんなお店を作っていくか、というところから、お客様に喜んでいただけるエッセンスやトレンドを取り入れ、多店舗展開をしてきました。また、スクラップ&ビルドを繰り返してきましたので、生き残ってるパッケージに関しては、やはり競争力に打ち勝てるオリジナルブランドになっていることも強みですね。現在はそこを軸に、面白いことに取り組まれている企業とのコラボや、新しいことにチャレンジしている点も当社の魅力です。Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?
遊びの延長線上というところが非常にありますが、すべてを含んだ経験値だと思います。かなり行動的なライフスタイルなので、いろんな場所に出向いてインプットした多くの経験や知識が店づくりやプロジェクトにアウトプットできているのかなと思います。おいしいお店がフィリピンにあれば、海外でもすぐに出かけていきますし、韓国で友人の誕生日パーティーがあれば行っていました。交友関係が広くありますので世界各地の友人から最先端の情報や、トップ企業・大使館などと繋がるチャンスをもらうことがあり、それが事業に活きています。Q7 地域とのつながりはありますか?その意義は何ですか?
当社と地域がwin-winになる様々なプロジェクトを立ち上げています。その一つが、当社がローマ教皇に提供したティラミスを贈る「おめでとうスイーツ」です。第一弾では、佐倉市・印西市で出産された方全員に、第二弾では酒々井町に入学・進級した小学生全員にティラミスを贈りました。人生の一大イベントの出産時にコロナ下で立ち会いが制限されたり、小学生にとって楽しい給食の時間が黙食となり、給食自体も感染対策優先の為、簡素な食事になっていることを知り、少しでも彩を添えられたらという想いでした。Q8 ちば起業の魅力は何ですか?
千葉は関東の端に位置し、半島性が不利のように言われることもありますが、現在はインフラが整備され、圏央道が全面開通する等、立地の不利が解消されようとしています。利便性が向上し、半島だからこそあった独自の文化が合致してくると、さらにチャンスが広がる場所だと思ってます。そして今はその経過地点です。千葉は海も山も成田国際空港もあって恵まれていますし、まだまだ開発の余地があり土地も安い。起業するスタートアップの地としては、とても面白い場所です。Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。
まずはやってみることです。1歩踏み出せば新しい景色があるように、やってみると開ける世界があります。私は若くして起業しましたが、その若さがリスクを考えるより先にポジティブな気持ちで起業に挑戦することが出来ました。もちろん”若さ”は実績もないように見られますし、なかなか認めてもらえない部分もあります。ですが、ある意味、希少性、物珍しい部分で注目されたり、応援してくださる方とのご縁に繋がったりもします。先述(Q8)した通り、千葉にはチャレンジする環境が、これからさらに広がります。東京のど真ん中で起業するよりもチャンスがあると感じています。Q10 今後の展望、ビジョンをお聞かせください。
ローマ教皇昼食会プロデュースという、キャリアのエポックメイキングがありました。そこで終わらずに、今頂いているチャンスを生かしながら他の人にできない新しいことをどんどん展開していきたいですね。企業規模を大きくしたいというよりは、世間を驚かせるビジネス展開を狙っています。地元に根差しながら、「なんかすごいぞ、千葉」と言われるように、東京がザワザワするような面白いことを仕掛けていきたいです。好きな漢字は?
「彩」 千葉には良い素材が既にそこにあるので、それをどう彩るか、どう華やかに魅せるかということを意識しています。彩は妻の名前でもあります。影響を受けた本は?
変わり続ける 人生のリポジショニング戦略/出井 伸之 著人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのかスペイン サン・セバスチャンの奇跡/高城 剛 著
オンとオフの切り替え方は?
出かけた先で感じたこと、その場所で触れたものを吸収している時間がオフですね。それを仕事に生かす時間がオンです。千葉で注目している起業家、経営者は?
●菅原工芸硝子株式会社 代表取締役 菅原 裕輔さん●株式会社いまでや 代表取締役社長 小倉 秀一さん
●平山建設株式会社 代表取締役社長 平山 秀樹さん