白鳥製薬は「世界」を変える会社を目指す。
創業100年を超える歴史を背負いつつ、
世界を見据えて令和の空へ羽ばたく挑戦者(チャレンジャー)。

白鳥製薬株式会社 代表取締役社長 白鳥 悟嗣

現法人の前身となる白鳥製薬所は1916年(大正5年)創業。その後、1948年(昭和23年)に白鳥製薬株式会社として法人化。県内有数の創業100年を超える老舗企業である。2010年に同社に入社し、2017年に代表取締役社長に就任。新入社員1名につき1名のインストラクターが指導をする「インストラクター制度」と呼ばれる独自の人材教育制度を導入するなど、社員の育成に心血を注ぐ。

Q1 事業承継のきっかけは?

 私は白鳥家の長男として生まれましたが、前社長である父から明確に「いずれ社長をやれ」と言われた事はありませんでした。そのため、自分の中では事業承継については漠然とした印象でした。2001年に三菱商事に入社し、そこでしばらく働いていた最中、2002年に当社が特許訴訟に負け莫大な賠償金を払わなければいけないという、屋台骨を揺るがす事態が起きました。そのあたりから、父が「会社に来ないか」と。それから色々な出来事がありましたが、2010年に白鳥製薬に入社し2017年に代表取締役に就任しました。

Q2 一番苦労したことは?

 私が事業承継した時には、先述した特許訴訟の件については、ほとんど目処が立っていたのでそれで苦労したという事はないのですが、会社自体は2期連続営業赤字という状態でした。更なる赤字は融資関連も厳しくなりますし、まずは赤字経営の立て直しからスタートと思い、色々な対策を講じたのですが、当時今よりも若かった私は、強引に物事を進めようとしてしまい、それが様々な反発を生んでしまいました。前社長から「お前は人望がない」と言われた事もあります(笑)。そこから、“人の話を聞く”という事の大切さと意味を知り、自分自身も意識変容を心掛けた結果、少しずつ社員が付いてきてくれるようになり結果に結びつきました。苦労といえば、そういった気付きを得て、自らを変革させるプロセスと言えるでしょう。

Q3 起業家・経営者と雇用される生き方の違いや魅力は何ですか?

 経営者と雇用される側というのは、正論めいた言い方をすれば、どちらが良い悪いでも、上でも下でもなく、その人の強みがどちら側にあるのか、という事だと思います。その上で経営者の魅力を挙げるとすれば、色々な人と深く関われるという事です。例えば、飛行機やロケットを設計したいという人は、物や設計図面などと向き合う事に興味を持っていると思うんですね。経営者は興味が“人”に向いていると思うんです。私も実際、人がすごく好きです。

Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?

 やっぱり人と関わってエネルギーをもらっているのかなと。自分が魅力的だなと思う人や、アクティブだなと思う人の話を聞いていると「俺も頑張ろう」という気持ちが湧いてくるんです。なので、意図的にそういう環境に身を置くように心掛けたりしています。それはたとえ経営者でなくても、今も三菱商事で頑張っている元同僚も然り、「再生エネルギーで世の中を変えて行くぞ」と熱い心で奮闘する仲間も然り。志のある前向きなパワーに触れると、まさに魂の充電みたいな感覚になります。

【千葉工場】
独創的な技術による製品の製造を実現している千葉工場

【R&Dセンター】
屋台骨として白鳥製薬を支えてきたR&Dセンター

新たなチャレンジの延長線上に、ノウハウが蓄積されていく。
そういった会社の文化が事業の基盤になっていると思います。

Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?

 当社の事業は大きく二つの軸があります。医薬品事業と健康食品事業です。まず、医薬品事業に関しては、我々は今、創薬(新しい薬を創る事)に挑戦しています。新しい薬で世界を変え、困っている方々を救う、そういう事業に関わっている事が大きな魅力です。一方で健康食品事業ですが、今の日本が抱える問題として医療財政に関する課題があります。これは一刻を争う国難で、子供たちはまともな医療を受けられなくなる可能性があります。安易に病院に行き処方薬に頼る、という世の中から予防医療へと大きく舵を切る必要があると考えます。ですから私たちは、そこにフォーカスを当てサプリメントの開発にも力を入れています。日本の医療の未来のために貢献する、社会的意義のある事業に魅力を感じています。

Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?

 ノウハウの基盤はズバリ、人です。当社では人を育てるプログラムが、ものづくり・研究・営業の分野において一定程度出来ています。そういったプログラムを活用して人を育てていく。そして、育った人たちが新たなチャレンジを続けていく延長線上に、ノウハウが蓄積されていきます。そういった会社の文化や体制というものが事業の基盤になっていると思います。

Q7 地域とのつながりはありますか?その意義は何ですか?

 白鳥家は江戸時代から習志野に居を構えています。当社の創業者は私の曽祖父、その次弟が白鳥製粉という蕎麦粉の製造会社を習志野で始め、更にその下の弟は習志野市の初代市長であり、市立習志野高校の創立者なんです。そんなわけで、地域とのつながりはたくさんあります。この地に育まれて来たわけですから、地域との繋がりがあったからこそ今日があると言えるのではないでしょうか。

Q8 ちば起業の魅力は何ですか?

 千葉には成田国際空港がある、これは千葉の相当な魅力です。世界に飛び立ちやすく、世界から降り立ちやすい。また、東京に近く未開発の土地も豊富です。その点においても大きなポテンシャルを持っていると言えるでしょう。また、特に若い人に多い事ですが、就業地が「田舎だな」と感じると都内や大阪などに流出していってしまうんですね。その点、千葉はそういう事はありません。安定した雇用が出来る事も意義が大きいです。

Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。

 「起業家になりたい」とか「経営者になりたい」と言う人の話を聞いていると、とにかくそこがゴールというか、社長になった事がゴールのように聞こえてきます。ですが、自分一人でも大変なのに、人を抱えて雇用をして行くという事はとんでもない責任が伴います。また、お客様やサプライヤーに対する責任も。生半可な気持ちでやるべきではないと思います。例えるなら、ダイ・ハードという映画のように、何度困難にぶつかっても決して諦めずに進んで行かなければなりません。起業はゴールではない、スタートラインです。やはりそういった気持ちと志、これが大事だと思います。

Q10 今後の展望、ビジョンをお聞かせください。

 コロナ下を受けて、前向きで優しい気持ちの大切さや「新型コロナを正しく恐れることは大切だけれども、チャレンジし続けることも大切」などと社員に伝えてきました。これからも発信し続けて行き、それを実現していくことが今後の展望です。ゼロコロナを目指すと莫大なコストがかかって大変な事になってしまいますから、一定のリスクと向き合いながらそのリスクが自分、あるいは会社にとって許容できる範囲なのかどうか、そのバランスを考えることが大事だと思いますので、そういった考え方が浸透して行くように今後も情報を発信して行きます。
会社名 白鳥製薬株式会社
電話番号 043-307-9877
現在の年商 62億円
従業員数 190名
業 種 メーカー/医療関連
事業概要 医療品原薬の製造、各種化学品の製造、食品原料の製造、医薬品、各種中間体受託研究及び製造
所在地 〒261-7128千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1WBGマリブイースト28F
H P http://shiratori-pharm.co.jp

好きな漢字は?

「志」  夢を夢で終わらせない事が志。「鬼滅の刃」に登場する竈門炭治郎のような志の強さ、頑張る心には大変惹かれます。

影響を受けた本は?

代表的日本人 / 内村鑑三 著
著書の中でも「上杉鷹山」について書かれたパートが好きで、「人を信じることや人の気持ちに寄り添うことの大切さ」といった事が学べます。

オンとオフの切り替え方は?

仕事とプライベートは明確に分けた方がいいと思っています。私の場合は、妻と若干反抗期を迎えつつある中学一年生の娘と小学四年生の息子で時間を過ごします。一緒にサッカーや将棋、Nintendo Switchなんかもやります(笑)。

千葉で注目している起業家、経営者は?

●株式会社三協リール 代表取締役 三木健太郎さん
非常にパワフルで前向きな経営者です。全然偉ぶらないし、ざっくばらんとした性格で色々なアドバイスをいただいたり、大好きな方です。