利用者・従業員・会社の満足度を上げ
win-win-winを実現
高い離職率に悩む介護業界の救世主

W hospitality株式会社 代表取締役 渡辺 正晃

調理師専門学校を卒業後、丸10年ホテルマンとしてサービス業に従事。その後ホテルを退職し、2011年に高齢者向け配食弁当を個人事業としてスタートする。自ら訪問介護の資格を取得し、2015年には訪問介護事業を始めた。現在では、高齢者向け配食弁当・各種介護事業・福祉用具事業を展開し、11事業所を経営。さらに、2022年初頭には、市川大野に訪問看護と居宅介護支援事業所の併設を予定している。

Q1 起業のきっかけは?

 前職のホテルマン時代の経験がきっかけです。上司の対応が従業員やスタッフを使い捨てにしていると感じて、これではこの先続けられないと思いました。そこで起業を考え始め、2011年に高齢者向け配食弁当を個人事業としてスタートしました。高齢者の安否確認をしながらお弁当を配達していた中で、介護士の離職率が高い事に着目し、自分だったらその現状を変えられるんじゃないかとの想いから訪問介護事業もスタートさせました。その後、地元のNPO法人から施設と従業員を含めデイサービスを無償で譲り受けるお話をいただき、事業承継しました。現在もその時の従業員はまだ、一人も辞めていません。

Q2 一番苦労したことは?

 起業して5年程は時間もお金もなく体力的にも辛かったです。高齢者向け配食弁当事業はストック商売ですからお弁当の注文先を見つけるため、薬局や病院にパンフレットを置かせてもらう等、新規開拓にまず苦労しました。訪問介護を始めた頃も大変でしたね。訪問介護の資格取得のため、高齢者向け配食弁当事業の現場と並行して授業を受けていましたし、訪問介護事業を始めてからも、二つの現場を掛け持ちしていましたので、朝から晩まで休みもなく現場に出ていました。ですが、その苦労があったからこそ、仕事のありがたさもわかるようになり、「私が来るのを待っている人がいる!」と自分なりに楽しさを見つけていました。

Q3 起業家・経営者と雇用される生き方の違いや魅力は何ですか?

 経営者の魅力は、色んな人と出会える事です。出会いは人生の学びにもなりますし、幅も広がります。また経営者は、良くも悪くも結果がすべてなので自由です。一方で、雇用される側も自己管理が出来ていれば自由でいいと思っています。例えば、訪問介護の現場から次の訪問場所まで時間があれば、自宅に帰って洗濯物や炊事をといった様なことも認めています。大変な現場である事は身をもって体験し理解していますので、仕事をしっかりこなすことを前提に、個々の働きやすい環境をつくるようにしています。

Q4 その上で、挑戦しつづけられる理由は何ですか?

 “人を大事にする会社が大きくなった方が面白い”という想いです。こういう業種ですから、“人を使い捨てにする事は許されない”その想いが根本にあります。特にスタッフが他の人材を紹介してくれた時は、やっていて良かったと感じる瞬間です。会社にとっては、スタッフ全員が譲り合い、謙虚に遠慮し合いながらバランスを取って、毎日仕事を続けてくれる事が一番大事な事だと思っています。

【事業内容1】
ぞうさん介護グループでは、13事業所を展開し、従業員は135名。事業所間の連携や交流もある為、従業員同士がとても仲良しです。

【事業内容2】
二和事業所では、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、福祉用具貸与、通所介護(運動型)の5つのサービスを連携を取りながら提供させて頂いております。

人を使い捨てにする事は許されません。
“人を大事にする会社が大きくなった方が面白い”と思っています。

Q5 現在実施されている事業の魅力は何ですか?

 私どもが取り組む事業は社会において重要だと考えます。誰もが最後には介護を受ける可能性があります。だからこそ介護力の高い地域をつくることが重要ですし、笑顔になっていただけるような運営を意識しています。大手には出来ないきめ細やかなサービスやスピード感を今後も持ち続けていきたいです。そして、当社は介護業界の中でも特に離職率が低いので、利用者さんがいつも同じ従業員に会えるところが一番の魅力です。利用者さんにとっては馴染みの顔がいると来やすいですし、安心感に繋がっていると感じています。お客様の期待ってそういうところだと思うんですよね。

Q6 現在の事業のノウハウの基盤は何ですか?

 ホテルマン時代と起業初期の経験にあります。前職で3店舗のマネージャーをしていた事や、新規のレストランの立ち上げの経験が活かされています。なによりもお客様に誠実に向き合っていく事も学びました。また、お弁当配達をスタートさせた時は、満足に人を雇えるような状況ではありませんでしたから、良い人材は中々入って来ませんでした。しかし、「よし、やるぞ!」と日々コミュニケーションを取り続けると、皆だんだんやる気になっていってくれました。人が育つ事の面白さに気付いた瞬間でした。来春には初めての新卒採用として3名が入社して来ますので、良い形で伸ばしていきたいです。

Q7 地域とのつながりはありますか?その意義は何ですか?

 地域との繋がりは非常に意識しています。地域と繋がっていないと人材も集まらない。それに地域にいるすべての方がお客様になり得るんですよね。少しでも悪い事があれば、噂は広まります。それは利用者さんであってもスタッフであっても同じ事です。ですから地域にいる方すべてを相手にしていると思っています。また、行政と連携して敬老会等もしています。先日は鎌ケ谷市の公民館をお借りして、太鼓を楽しんでいただいたり、歌ったりしました。

Q8 ちば起業の魅力は何ですか?

 千葉には都会も田舎もありますよね。その間を取ってビジネスが出来る事は、中小企業にとってはチャンスだと思います。大手が入り込めないエリアがありますし、大手には出来ない部分を個人事業主や中小企業が担う事が出来る可能性があります。福祉業界において、都会から少し離れると東京にあるようなビッグネームをあまり聞きません。その上、まだまだ高齢者の割合に対して福祉事業所が少ない地域もありますので、福祉業界にとってはまだまだ開拓の余地が残っていると思います。

Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。

 業種にもよりますが、年商1億円までの売り上げの創り方と年商1億円からの売り上げの創り方は全然違います。年商で3,000万円ぐらいまでは、頑張れば誰でも目指せると思います。ただそこから1億円を目指すには一人では限界があり、人を雇わないと超えられない数字です。多くの方とお会いする中で、従業員とのコミュニケーションを上手く取れない方は、やっぱりそこまでですよね。大事な事は、“どうやってやる気になってもらうか”という事です。私の想いとしては、人を大切にする人に起業してほしいですね。

Q10 今後の展望、ビジョンをお聞かせください。

 2022年初頭に訪問看護と居宅介護支援事業所を市川大野に出店予定です。千葉県内への展開しか考えてはいませんが、人材も集まって来ていますので、鎌ケ谷周辺を拠点に県内への出店は広げていきたいですね。さらに、在宅看護や在宅介護は当社でカバー出来るようになりましたので、次の展開として有料老人ホームの開設と、訪問看護・訪問介護のさらなる横展開を目指しています。そして2年後には現在の2倍の年商10億円を、8年程度で年商50億円を目標に、スピード感をさらに高めていきたいと思っています。
会社名 W hospitality株式会社
電話番号 043-446-2817
現在の年商 4億円
従業員数 135名
業 種 医療関連(介護・看護)
事業概要 高齢者向配食弁当、訪問介護、訪問看護福祉用具、ケアプラン、デイサービス(一日型)リハビリデイサービス(半日型)
所在地 〒 273-0123 千葉県 鎌ケ谷市南初富 5-8-65
H P https://whospitality.jp/

好きな漢字は?

「素」  素の自分でいる事を大切にしているので。

影響を受けた本は?

ビジネス書は時々読みますが、本はあまり読まないんですよね(笑)。基本的に全部我流です。

オンとオフの切り替え方は?

寝てる時がオフ、起きている時がオンですね(笑)。
仕事の事を考えている野が日常なので。あとは…食べている時と飲んでいる時がオフかな(笑)。

千葉で注目している起業家、経営者は?

●株式会社マロー・サウンズ・カンパニー 代表取締役 田中 紘太さん
●株式会社エムトラスト 代表取締役 高橋 勘太さん
●株式会社Loop 代表取締役 宮本 崇市さん