福原 裕一
福原 裕一

創業16年で国内・海外に27店舗
人の成長に重きを置く外食産業の雄

1999年の焼き鳥居酒屋「くふ楽」を皮切りに、「福みみ」「元屋」「博多屋」など飲食事業を中心に展開。創業1年目から積極的に店舗を拡大し、2004年以降はカナダに「ざっ串」を出店し、その後インド、インドネシアでの出店も成功させている。このほか、2005年には学習塾「ITTO」のFC展開も開始し、教育事業にも力を入れる。現在は国内外に飲食店27店舗、学習塾2校を内包するグループ企業として成長を続けている。

<プロフィール>福原 裕一

1965年、横浜市出身。千葉県内の高校を卒業後、3年ほど花王株式会社にて工場ラインオペレーターを経験。日本マクドナルド株式会社では店舗管理に従事。25歳で友人と貿易会社を立ち上げるが失敗。その後、損害保険代理店に勤務し、31歳で焼き鳥居酒屋の店長に。友人の経営する焼き鳥居酒屋を業務委託で運営したのちに1999年、1号店となる「くふ楽 本八幡店」を創業。独自の人材育成メソッドをまとめた「『心の大富豪』になれば夢は叶う」など著書多数。

 

Q1 起業のきっかけは?

高校生のときにバイトしていたラーメン屋での体験が大きいですね。皿洗いや野菜切りから始まり、そのうち厨房を任されるようになって、お客さんから「美味しかったよ」と言われたのが嬉しくて。うちは両親が離婚していたので、早く母に楽をさせてあげたいって思いがあったんですよね。ある日、卒業したらラーメン屋になると母に告白しました。そしたら母は「ちゃんと就職しなさい」って。そういう保守的な時代だったのかも知れません。高校の就職課に求人が出ていた花王に入りました。母の言葉は理解しまたが、飲食への憧れもあり…通勤中にいろんな本を読みまくり、とくに日本マクドナルド創業者・藤田田さんの『頭の悪いやつは損をする』に書かれていた商売の極意は強烈でした。この本との出合いがきっかけで、いつかは経営者になろうと決心しました。

Q2 起業して一番苦労したことは?

 25歳で一度事業に失敗しているので、『くふ楽』創業後の苦労は感じた事ないですね。ただ今でも忘れられないのが、2001年に渋谷店を出店しようとしたときです。前もってキャピタルさんから「うちを使って」と打診があり、さっそく口座開設して融資を受けようとした段階で急に話がご破算になって。従業員からは「そんなに焦って出店しなくても」と言われましたが、創業時に決めた〝従業員の成長の場を作る〟を断念するのがすごく辛くて。私の中では渋谷店を任せたい人物も決めていましたし。で、あるとき東京タワーに行きましてね、眼下に目をやると人もビルも小さくて。それを眺めていたら自分の悩みがちっぽけな事に気づいて、どうにかして渋谷店を出店させる方法を見つけよう! という考えになりました。

Q3 経営者と雇用される側の違いや魅力は?

経営者の魅力は、自分の判断でいろんな挑戦ができる事です。経営者と雇用される側、どちらが良いかはその人の生き方次第ですよね、どちらが魅力的に見えるかですから。私はたまたま経営者を選んだだけです。

Q4 挑戦しつづけられる理由は?

 理由はふたつあります。ひとつは人の生きる意味を考えると「成長」が肝心だと思うからです。自分の成長のために挑戦を続けます。もうひとつは従業員の人生に関わっていくから。私の挑戦が彼らの挑戦や成長にも繋がっていると思うからです。

決算役員会にて
5年で10店舗を目標に。インドの合弁会社Kuuraku Indiaの決算役員会にて

Q5 御社の事業の魅力は?

 飲食業の醍醐味は、大勢の仲間とのチームプレーでお客様に「美味しい!」と喜んでいただく事。それに飲食店には、社員もアルバイトも関係なく従業員ひとりひとりが成長できる材料が詰まっています。店舗運営についてひと通りの事を学んだら店長になりますし、うちを辞めたあとどこに行っても活躍できる力が得られます。そうやって人を育成していけるのが魅力ですね。実際に4人の元店長が弊社の「暖簾分け制度」を使って独立しましたし、それ以外にも元アルバイトで起業している人もいます。うちから卒業した起業家は30人くらいますよ。

Q6現在の事業ノウハウの基盤はどこで培いましたか?

飲食店経営のノウハウはマクドナルド時代と、1軒目の焼き鳥居酒屋です。マックでは店のマネジメントも学んでいましたから、焼き鳥屋に入ったときは接客と商品、それからスタッフのやる気を出す施策をたくさん打ち、結果として売上アップを果たしました。この成功体験がのちの起業に大きく役立っています。

Q7 地域とのつながり、意義は?

 弊社の存在意義のひとつは地域社会への貢献。私たちの存在で地域を明るくし、新たな雇用を創出し、また納税するのが目的です。ふたつ目は人材の育成。地域の若い人に夢をもって働いてもらいたいですし、多くの事業家を育てたいと思っています。
2005年にスタートした学習塾事業は私の子どもがきっかけです。自分の子が安心して暮らせる社会にするにはまず教育であると気づきました。当時たまたま手にした「7つの習慣」という本は人として何を大切に生きていくかがテーマで、私が従業員たちに伝えたい事がずばり書かれていたのです。それで、当時この書籍を教材に使っている学習塾があったので、FC加盟しました。

Q8 千葉県で起業する魅力は?

千葉県や千葉市には起業家を支援する雰囲気があります。私自身も2003年にベンチャーサポート制度を利用してこのビルに入居しました。最近は海外出張も多いので、成田が近いのもメリットですね。じつは25歳のとき、このビル(ワールドビジネスガーデン マリブウエスト)に保険営業で来たことがありましてね。あっさり断られた帰り道にビルを振り返り「いつか経営者になってこんなビルに入りたいな」って考えていました。だから起業してこのビルを紹介されたとき「あの時のビルだ!」と、ひとり興奮したのを覚えています。

Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。

 海外では、いまだに道端で物乞いする子どもや学校に行けない子どもがいます。彼らと話をする機会があったので「今一番したいことは?」と聞くと、「働きたい」「お腹いっぱいごはんが食べたい」という答えでした。世界中にはこのような人々がまだたくさんいるのが現実です。ちゃんと教育を受けられてごはんも食べられる日本に生まれたのだから、挑戦しないのはもったいないと思います。起業は自分を成長させられる素晴らしいチャンスです。諦めずに挑戦してほしいです!

好きな漢字は?

人が生きる目的は「成長」で、成長を導いてくれるのは「挑戦」です。失敗は、次の挑戦をしたときに教訓として活かせる大切な教材だと考えます。

影響を受けた本、おすすめの本は?

『ZOZOTOWN』を運営している「株式会社スタートトゥデイ」代表取締役の前澤友作さん。一度食事をした事があり、非常に感性の豊かな方だと感じました。あとはソフトバンクの孫正義さん。この方も藤田田さんの本に影響を受けたとか。世界をどのように見ているのかが気になります。

千葉で注目している起業家、経営者は?

「トーネツ株式会社」の半田実社長です。業務内容は空調関係。同業者を巻き込みネットワーク、サービス拡大、24時間対応の仕組みを提供。これらに取り組む姿勢、情熱、行動力が素晴らしい!

オンとオフの切り分け方は?

起業した当時は、街を歩いていても看板が気になり、家族で食事していても子どもがどう感じるかなとか、オン・オフの区別がありませんでした。今は書道、パステルアートなどで感性を磨き、ゴルフ場では自然の豊かさを感じてリフレッシュします。

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