原 基弘
原 基弘

創業から18期連続成長!
僕が経営者へと成長できた理由

1996年に創業した『原塗装』を2002年に法人化。時代の流れとともに、新築塗装からリフォーム(塗り替え)へと方向転換を図り、原代表自身が20年以上に渡り積み上げてきた経験やノウハウをベースに、住宅の外壁塗装、屋根工事、防水工事から住宅リフォームまで行う有限会社リペイント。千葉市を中心に佐倉、市原、八街そして都内東葛エリアまでをカバーし、現場での対応力と質の高い仕事が認められ設立から常に右肩上がりの成長を遂げている。

<プロフィール>原 基弘

1967年、千葉市出身。地元の中学を卒業したのち調理師専門学校と定時制高校に通う。1年後から某レストランに入り、調理人としての下積み生活が始まる。19歳で思うところがあり退職。その後、20歳のときに友人の誘いで『長谷川塗装店』に入社し、塗装職人のキャリアがスタートする。9年の修業を終え、1996年に『原塗装』を起業してからは現場主義を貫くとともに抜群の経営センスにより、順調に業績を伸ばし続けている。

 

Q1 起業のきっかけは?

中学の終わり頃から人並みにやんちゃしていまして、一度は料理の道に進みますが3年で辞め、地元の友人の紹介でペンキ屋職人になったのが20歳のときです。〝腐ったみかん〟は切り捨てられる時代。毎日スーツを着て会社へ行く父と兄に対し、僕は理由なく反発心を持っていました。職人になってしばらくすると日当18500円をあてがわれ、月の休みは3~4日でそこそこ稼ぐようになっていました。今思えば、学がなくても会社員より稼げるという優越感だけが支えだった気がします。
28歳のある日、何気なく兄の給料を聞くと私の稼ぎを抜かれていました。しかも兄にはボーナスや退職金もある安定した人生が保障されています。独立を決意したのはこのときですね。1996年1月に29歳で『原塗装』を立ち上げました。まだ業界内にはバブル期の余韻があり「日銭くらい稼げるだろう…」そんな軽い気持ちで。

Q2 起業して一番苦労したことは?

 この業界は、塗料を先に現金で仕入れ職人にも現金で取っ払うのが慣例です。しかし自分が元請けさんから支払われるのは翌月末。仕事をまわす現金が最初から足りなかったので、僕も日雇いで現場に入り、その日の手当てで職人に支払う生活が続きました。
起業した年の10月頃から若い職人を雇ったこともあり、運転資金が余計ギリギリの状態で年末に財布の中にあるのは1000円札が1枚でした。そんな時その職人が大晦日にうちに遊びに来たんです。ストーブも焚けない寒い部屋でインスタントコーヒーで年越しですよ。年末だというのに小遣いをやる事も、メシも食わす事もできない…本当に情けなくって。
年明けからいろんな人たちに声をかけて、待ちの営業スタイルからの脱出を図りました。すると仕事がどんどん舞い込むようになり、さばき切れない状態でしたが基本すべて受けました。あの頃は2時間睡眠とかザラでしたね。

Q3 経営者と雇用される側の違いや魅力は?

 経営者は楽しくてしょうがないですね。自分でやった結果がすべて出るのですから。私が段取りをしくじれば全体が失敗に終わる。その責任を自分自身で取れるのがまたいいですよ。今まで何べんも土下座しました。元請けさんの顔に泥を塗るわけにはいきませんからね。土下座と笑顔はタダでできると思っています。

Q4 挑戦しつづけられる理由は?

 従業員たちを食わしていくっていう気持ちがあるから。それと、新しい世界が見たいという欲求ですね。5億、10億と売上を伸ばしたとき、それは単に金を稼ぐのが目的じゃなくて、10億の企業になったとき、どんな事に挑戦できるかなってワクワク感があるからです。

社員と現場の打ち合わせ確認をする原氏
社員と現場の打ち合わせ確認をする原氏。プロとして施主さまは勿論、元請けさんからの信頼も厚い

Q5 御社の事業の魅力は?

 古くからの技術でモノ作りをして、また技術を継承していくのが魅力です。あるとき、僕が現場を離れるようになり、施主さまからクレームをいただく事が増えた時期がありました。理由は職人たちが仏頂面ばっかりで、あいさつをしないというものでした。僕たちは職人である以前に営業マンなんですよね。仕上がりはもちろんですけど、現場で人当たりの良い対応ができるかが肝で。だから僕が職人の前で接客の心得を見せました。とにかく笑顔で会話をするようにと。そうしたら見事にクレームがなくなりました。 あと、仕事したあとに「キレイになったね、ありがとう」って言ってもらえるのがまた魅力ですよね。

Q6現在の事業ノウハウの基盤はどこで培いましたか?

 職人としてのスキルや勘は、すべて現場で覚えました。会社を成長させていくには他の業界も見ないといけないと考え、6~7年前からは現場を離れ異業種交流の場に顔を出しています。最初は大変でしたよ、人と話をするのがすごく苦手で…ろくに漢字も書けないし言葉も知らないし。だけど、経営者としてどう生きるべきかを知りたくてしょうがなかった。あと従業員たちに言葉で教育する必要性を感じていたし、この業界のイメージを変えるためにもあれだけ抵抗のあったスーツに袖を通したわけです。自分のプライドなんかどうでもいい、会社を成長させるためには。

Q7 地域とのつながり、意義は?

 うちのポリシーは「塗装で千葉を元気にしたい」です。地域のお客さまに良質なサービスを提供し、喜んでいただくのがまず大きな目的です。あとは地元に税金を納める事ですね。だから本社をほかの土地に移そうなんて考えた事ありません。千葉で起業する方たちを支援するNPO活動もやっています。

Q8 千葉県で起業する魅力は?

この業種で考えるとガソリン代が安くて交通の便もかなりいいですからね、県内はもちろん都内にもアクセスしやすく、起業すれば関東近郊が営業エリアにできるのが魅力です。あと家賃も安いのがいい。経費を比較的安く抑えられますよ。

Q9 これから起業を考えている方にメッセージをお願いします。

 起業するには素直な気持ちが必要だと思います。聞く耳を持つと人ってすごく成長できますからね。うちも今まで4人の職人が独立していきましたが、僕がいつもアドバイスするのは〝TTP〟だけ、「徹底的にパクれ」です(笑)。業種は違っても、成功した人の言動には成功の素がいっぱい詰まっています。だからお手本にしたい経営者を見つけて、パクッていくのが成功への最短ルートだと教えます。独立、起業するって楽しいですよ。辛い事もあるけど、でも楽しい!いろんな経営者と会えて、話すたびに自分を磨けますから。

好きな漢字は?

経営の先輩方と話すにしても、自分がどうなりたいか何を目標にしているか芯がないとブレてしまいます。芯があればいろんな人を受け入れられます。

影響を受けた本、おすすめの本は?

『ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?』/高野誠鮮 著
考えることは誰でもできる。そして考えたことを実行した人が前に進める。発想力、企画力もさることながら、その行動力に感銘しました。

千葉で注目している起業家、経営者は?

「株式会社ストラクス」代表取締役の山本さん。僕と同じ千葉市を拠点にしていて、しかも同業ですから前から気になる存在です。山本さんは物腰が柔らかくてとにかく人に優しい。あんな穏やかな性格の方がどうやって年商18億をたたき出したのか、極意を知りたいですね。

オンとオフの切り分け方は?

仕事は家に持ち込まないようにしています。書類1枚でさえも。家族の顔を見たらオフになりますから。休みの日は気分転換も兼ねて家族と「ららぽーと」とか、ちょっと地元を離れた場所へでかけます。

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